WOMマーケティングとは、口コミ(Word of Mouth)を活用した集客・販促手法のことです。
WOMは「Word of Mouth」の略で、日本語では「口コミ」を意味します。WOMマーケティングは、顧客同士の自然な会話や推薦を通じて、商品・サービスの認知や購買を促進する手法です。
本記事では、WOMマーケティングの基本から実践方法、注意すべきステマ規制、クリエイターの活用法まで詳しく解説します。
この記事でわかること
WOMマーケティングの意味と種類
WOMマーケティングとインフルエンサーマーケティングの違い
WOMJガイドラインとステマ規制への対応
WOMマーケティングの実践手法
クリエイター向けWOM活用法
WOMマーケティングとは?基本を解説
WOMの意味
WOMとは「Word of Mouth」の略で、口コミ・口伝えを意味します。
「Word of Mouth」は「口から口へ」という意味の英語です。商品やサービスについて、人々が口頭やSNSで自然に話題にすることを指します。
WOMマーケティングは、このWOM(口コミ)を戦略的に活用するマーケティング手法です。
WOMマーケティングの定義
WOMマーケティングとは、口コミ(Word of Mouth)を活用した集客・販促手法のことです。
単に口コミが発生するのを待つのではなく、口コミを意図的に生み出し、拡散させるための仕組みを設計します。
具体的には、話題になりやすい商品設計、紹介キャンペーン、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の促進などが含まれます。
なぜWOMマーケティングが重要なのか
WOMマーケティングが重要な理由は、口コミの影響力が非常に大きいからです。
Nielsen社の調査によると、消費者の92%が広告よりも知人の推薦を信頼するとされています。また、口コミは広告より5倍の売上効果があるという調査もあります(McKinsey & Company)。
SNSの普及により、口コミの拡散スピードと影響範囲は飛躍的に拡大しました。1人の投稿が数万人、数十万人に届く可能性がある時代です。
WOMマーケティングの種類
WOMマーケティングは大きく2種類に分けられます。
オーガニックWOM(自然発生型)
オーガニックWOMとは、企業の働きかけなしに自然発生する口コミのことです。
商品やサービスに満足した顧客が、自発的に友人に勧めたり、SNSに投稿したりする口コミです。
オーガニックWOMのメリットは、信頼性が高く、コストがかからないことです。デメリットは、発生タイミングや内容をコントロールできないことです。
オーガニックWOMを増やすには、商品・サービスの質を高め、顧客満足度を向上させることが基本です。
アンプリファイドWOM(増幅型)
アンプリファイドWOMとは、企業が意図的に促進・増幅させる口コミのことです。
紹介キャンペーン、レビュー依頼、インフルエンサー起用など、企業が積極的に口コミを生み出す施策を指します。
アンプリファイドWOMのメリットは、タイミングや内容をある程度コントロールできること、短期間で大量の口コミを生み出せることです。デメリットは、コストがかかること、やり方を間違えると「ステマ」と批判されるリスクがあることです。
オーガニックとアンプリファイドの使い分け
最も効果的なのは、オーガニックWOMとアンプリファイドWOMの併用です。
まずはサービスの質を高めてオーガニックWOMの土台を作り、その上でアンプリファイドWOMで口コミを増幅させましょう。
オーガニックWOMがない状態でアンプリファイドWOMだけを行っても、説得力のある口コミは生まれません。
WOMマーケティングとインフルエンサーマーケティングの違い
WOMマーケティングとインフルエンサーマーケティングは関連していますが、異なる概念です。
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、影響力のある発信者に商品を紹介してもらう手法です。
YouTuber、インスタグラマー、TikTokerなどのインフルエンサーに商品を紹介してもらい、そのフォロワーにアプローチします。
両者の関係性
インフルエンサーマーケティングはWOMマーケティングの一種です。より正確には、アンプリファイドWOMの一手法です。
WOMマーケティングは口コミを活用するマーケティング全般を指します。インフルエンサーマーケティングはその中で「インフルエンサー」という特定の発信者を活用する手法を指します。
WOMマーケティングには、インフルエンサーマーケティング以外にも、紹介プログラム、レビュー促進、UGCキャンペーンなど多様な手法が含まれます。
WOMJガイドラインとステマ規制
WOMマーケティングを実施する際は、WOMJガイドラインとステマ規制を理解しておく必要があります。
WOMJとは
WOMJとは「WOMマーケティング協議会」の略称です。
WOMJは、口コミマーケティングの健全な発展を目指す業界団体です。口コミマーケティングに関するガイドラインを策定・公開しています。
WOMJガイドラインの概要
WOMJガイドラインは、口コミマーケティングにおける「関係性の明示」を求めています。
関係性の明示とは、企業から金銭や商品を受け取っている場合、その事実を消費者に分かるように表示することです。
具体的には、「PR」「広告」「提供」などの表示を投稿に含めること、企業との関係を隠さないこと、などが求められています。
2023年ステマ規制
2023年10月、消費者庁による「ステルスマーケティング規制」が施行されました。
ステルスマーケティング(ステマ)とは、広告であることを隠して宣伝する行為です。
ステマ規制により、事業者が第三者に依頼して広告であることを隠して投稿させた場合、景品表示法違反となります。
クリエイターが注意すべきポイント
クリエイターがWOMマーケティングに関わる際の注意点を解説します。
報酬を受け取る場合は、必ず「PR」「広告」などの表示が必要です。金銭だけでなく、商品の無償提供も含まれます。
ファンに紹介を依頼する場合は、ファンが無報酬で自発的に投稿する場合は表示不要です。ただし、報酬を渡して投稿を依頼する場合は、ファンにも「PR」表示を求める必要があります。
WOMマーケティングの実践手法
WOMマーケティングの具体的な実践手法を解説します。
手法①:紹介プログラムの導入
紹介プログラムとは、顧客が新規顧客を紹介すると報酬がもらえる仕組みです。
紹介者と被紹介者の両方に報酬を設定する「両面インセンティブ」が効果的です。Dropbox、PayPay、メルカリなど多くの成功企業が採用しています。
クリエイターの場合、金銭報酬より「限定コンテンツ」や「配信での名前読み上げ」のほうが効果的なことが多いです。
手法②:UGC(ユーザー生成コンテンツ)の促進
UGCとは、ユーザーが自発的に作成するコンテンツのことです。
レビュー、SNS投稿、ファンアート、実況動画などが含まれます。UGCは信頼性が高く、無料で継続的に生成されるため、非常に価値があります。
UGCを促進するには、ハッシュタグキャンペーンの実施、UGCの公式リポスト、UGCコンテストの開催などが効果的です。
手法③:シードプログラム
シードプログラムとは、影響力のある顧客に先行体験や特典を提供する手法です。
新商品を発売前にファンに体験してもらい、口コミを生み出します。「シード(種)」を蒔くイメージから名付けられました。
クリエイターの場合、新曲や新動画の先行視聴権をコアファンに提供することがシードプログラムに該当します。
手法④:話題性のある体験設計
口コミは「話したくなる体験」から生まれます。
「話題にしたくなる」ポイントを意図的に設計することで、口コミが発生しやすくなります。
具体的には、サプライズ要素の追加、SNS映えするデザイン、ストーリー性のある体験、限定感・希少性の演出などが効果的です。
WOMマーケティングの効果測定
WOMマーケティングの効果を測定する指標を解説します。
NPS(Net Promoter Score)
NPSとは、顧客の推奨意向を測る指標です。
「このサービスを友人に勧める可能性は?」という質問に0〜10点で回答してもらい、算出します。
計算式は「推奨者の割合(9〜10点)−批判者の割合(0〜6点)」です。NPSがプラスなら推奨者が多い状態です。
バイラル係数
バイラル係数とは、1人の顧客が平均何人の新規顧客を連れてくるかを示す指標です。
計算式は「招待数×招待CVR」です。バイラル係数が0.5以上なら良好、1以上なら自己増殖的な成長が可能です。
口コミ数・UGC数
口コミやUGCの数を定期的に計測します。
ハッシュタグのついたSNS投稿数、レビューサイトへの投稿数、紹介プログラムの利用件数などを追跡しましょう。
エンゲージメント率
口コミに対するエンゲージメント(反応)も重要な指標です。
いいね数、コメント数、シェア数、リーチ数などを測定し、口コミの質と影響力を評価します。
WOMマーケティングの成功事例
WOMマーケティングで成功した事例を紹介します。
事例①:Dropbox
Dropboxは紹介プログラムで急成長を遂げた代表例です。
施策内容として、紹介者と被紹介者の両方に500MBの追加容量をプレゼントしました。
成果として、登録者数が15ヶ月で390万人から1億人に増加しました。紹介プログラムが成長の原動力になりました。
成功要因は、報酬(追加容量)がサービスの価値と直結していたこと、両面インセンティブで紹介しやすかったことです。
事例②:PayPay
PayPayは友達紹介キャンペーンで急速にユーザーを拡大しました。
施策内容として、紹介者と被紹介者の両方に500〜1,000円相当のPayPayボーナスをプレゼントしました。
成果として、サービス開始から約4年で登録者数5,000万人を突破しました。
成功要因は、金銭報酬の分かりやすさ、PayPayの利便性が高く紹介しやすかったことです。
事例③:Airbnb
Airbnbは紹介プログラムを通じて海外展開を加速させました。
施策内容として、紹介者には旅行クレジット、被紹介者には初回予約割引をプレゼントしました。
成果として、紹介プログラムが予約の約25%を占めるまでに成長しました。
成功要因は、旅行という「話題にしやすい」テーマ、両面インセンティブの設計です。
事例④:Tesla
Teslaは紹介プログラムでプレミアムな口コミを創出しました。
施策内容として、紹介者には車両購入時の割引やスーパーチャージャー無料利用権をプレゼントしました。
成果として、広告費ほぼゼロで高級EV市場のトップブランドになりました。
成功要因は、製品そのものの話題性、オーナーの熱狂的なファン化です。
クリエイター向けWOMマーケティング活用法
クリエイターがWOMマーケティングを活用する方法を解説します。
活用法①:ファン紹介プログラムの導入
ファンがファンを連れてくる仕組みを作りましょう。
紹介特典として、金銭報酬より「限定コンテンツ」や「配信での名前読み上げ」が効果的です。クリエイターだからこそ提供できる「お金では買えない価値」を活用しましょう。
活用法②:UGCの促進と活用
ファンが作るコンテンツを促進し、活用しましょう。
ファンアートを公式でリポスト、ハッシュタグキャンペーンの開催、ファン作品の紹介コーナーの設置などが効果的です。
ファンは「自分の作品をクリエイターに認められた」と感じ、さらに熱心なファンになります。
活用法③:コミュニティの形成
ファン同士がつながるコミュニティを形成しましょう。
Discordサーバー、ファンクラブ限定掲示板、オフ会などを通じて、ファン同士の交流を促進します。
ファンコミュニティ内での会話が自然な口コミになり、新規ファンの獲得につながります。
活用法④:話題になるコンテンツ設計
「シェアしたくなる」コンテンツを意識的に作りましょう。
サプライズ企画、コラボ企画、記念日企画など、ファンが「これは友達に教えたい」と思うコンテンツを定期的に発信します。
WOMマーケティングの注意点
WOMマーケティングを実施する際の注意点を解説します。
ステマ・やらせレビューの禁止
ステルスマーケティングや、やらせレビューは絶対にやめましょう。
ステマは2023年10月から景品表示法違反となり、法的リスクがあります。また、発覚した場合のレピュテーション(評判)リスクも甚大です。
ネガティブ口コミへの対応
ネガティブな口コミも発生することを前提にしましょう。
ネガティブ口コミを削除しようとしたり、反論したりするのは逆効果です。真摯に受け止め、改善につなげる姿勢が重要です。
口コミの質のコントロール
口コミの量だけでなく、質にも注目しましょう。
報酬目当ての中身のない口コミが増えると、全体の信頼性が下がります。報酬条件を工夫したり、質の高い口コミを表彰したりする仕組みが必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. WOMとは何の略ですか?
A. 「Word of Mouth」の略です。日本語では「口コミ」「口伝え」を意味します。
Q. WOMマーケティングとバイラルマーケティングの違いは?
A. バイラルマーケティングはWOMマーケティングの一種です。バイラルマーケティングは「急速に拡散するコンテンツ」に焦点を当てた手法で、WOMマーケティングのより狭い概念です。
Q. 小規模なクリエイターでもWOMマーケティングはできますか?
A. むしろ小規模なうちが始めやすいです。ファンとの距離が近いため、自然な口コミが生まれやすく、紹介プログラムも運用しやすいです。
Q. WOMマーケティングにはどのくらいの費用がかかりますか?
A. 施策によります。紹介プログラムの場合、報酬コストのみで運用可能です。インフルエンサーマーケティングの場合、数万〜数百万円の費用がかかります。クリエイターの場合、限定コンテンツを報酬にすれば原価はほぼゼロです。
Q. ステマ規制に違反するとどうなりますか?
A. 措置命令の対象となります。消費者庁から措置命令(違反行為の差止め等)を受ける可能性があります。また、社会的な信用失墜のリスクも大きいです。
まとめ
WOMマーケティングとは、口コミ(Word of Mouth)を活用した集客・販促手法のことです。
WOMマーケティングには、オーガニックWOM(自然発生型)とアンプリファイドWOM(増幅型)の2種類があります。
実践手法として、紹介プログラムの導入、UGCの促進、シードプログラム、話題性のある体験設計があります。
注意点として、WOMJガイドラインとステマ規制を遵守し、関係性の明示を徹底することが重要です。
クリエイターの場合、ファン紹介プログラムの導入、UGCの促進、コミュニティ形成が効果的です。ファンの力を活用して、ファンを増やしていきましょう。
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