> メンバーシップティアとは、会員制サービスの階層別料金・特典設計のことです。
「ティア(Tier)」は「階層・段階」の意味。ファンの支援レベルに応じて異なる特典を提供する仕組みです。
YouTubeメンバーシップの6段階、Twitchサブスクの3段階が代表例。正しく設計すれば、単一価格より30%以上の収益アップが可能です。
身近なティア設計の例
身近なサービスでのティア設計を見てみましょう。
YouTubeメンバーシップは最大6段階(90円〜12,000円)で、動画連携やバッジが特徴です。Twitch サブスクは3段階(Tier1/2/3)で、エモートや広告非表示が特徴です。Patreonは自由設計(1〜10段階)で、海外クリエイター主流のプラットフォームです。pixivFANBOXは自由設計(100円〜)で、イラスト系に強いです。note メンバーシップも自由設計で、文章系に強いプラットフォームです。
なぜティア設計がクリエイターに重要なのか
収益最大化の鍵
単一価格とティア価格を比較してみましょう。
単一価格の場合
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月額500円のみ
ファン100人 × 500円 = 50,000円/月
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3ティア設計の場合
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ライト(300円):50人 → 15,000円
スタンダード(800円):40人 → 32,000円
プレミアム(2,000円):10人 → 20,000円
合計:67,000円/月(+34%)
```
同じ100人でも34%の収益アップ。ティア設計で支払い意欲に応じた最適価格を提示できます。
ファンには3つのタイプがいる
ファンには3つのタイプがいます。ライトファンは応援したいが予算は限定的で、全体の50〜60%を占めます。コアファンは適度な支援で満足し、全体の30〜40%を占めます。スーパーファンは最大限支援したいと考え、全体の5〜15%を占めます。
単一価格では、ライトファンには高すぎ、スーパーファンには物足りません。ティア設計でそれぞれに最適な選択肢を提供できます。
ティア設計の心理学:「松竹梅の法則」
なぜ3ティアが効果的なのか
人間の意思決定には「極端の回避性」という心理が働きます。3つの選択肢があると、多くの人は真ん中を選びます。
3ティアの場合の選択傾向
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松(高価格):15〜20%が選択
竹(中価格):50〜60%が選択 ← 最も選ばれる
梅(低価格):20〜30%が選択
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アンカリング効果の活用
最上位ティアの存在が、中間ティアを「お得」に見せます。
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プレミアム(5,000円):限定ボイス + 限定配信 + 名前呼び
スタンダード(1,000円):限定配信 + Discord ← 「これでいいかも」
ライト(300円):Discord
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5,000円の存在で、1,000円が相対的に安く感じられます。
クリエイター向けティア設計テンプレート
テンプレート1:3ティア基本型(推奨)
3ティア基本型では、サポーター(300〜500円)はバッジと限定チャットで想定割合50%、メンバー(800〜1,500円)は上記に加え限定配信と限定コンテンツで想定割合40%、VIP(2,000〜5,000円)は上記に加え名前呼びと優先対応で想定割合10%です。
特徴:シンプルで運用しやすい。最初はこれで十分。
テンプレート2:5ティア拡張型
5ティア拡張型では、ファン(100〜300円)は応援バッジ、サポーター(500〜800円)は限定投稿閲覧、メンバー(1,000〜2,000円)は限定配信とDiscord、VIP(3,000〜5,000円)は個別メッセージ返信、スポンサー(10,000円〜)はコラボ権と特別企画参加です。
特徴:幅広い価格帯をカバー。大規模ファンベース向け。
テンプレート3:コンテンツ段階型
コンテンツ段階型では、アーカイブ(500円)は過去配信アーカイブ、リアルタイム(1,000円)は上記に加えライブ配信参加、インタラクティブ(2,500円)は上記に加え質問優先回答、プライベート(5,000円)は上記に加え少人数限定配信です。
特徴:コンテンツ価値が明確。ファンが選びやすい。
ティア別特典の設計アイデア
低価格ティア(100〜500円)向け
提供しやすい特典
専用バッジ・スタンプ
限定Discord/チャットへのアクセス
名前のクレジット表示
限定壁紙・アイコン
ポイント:運用コストをかけずに「所属感」を提供。
中価格ティア(500〜2,000円)向け
価値を感じてもらえる特典
限定配信・動画
舞台裏・メイキング
月1回の限定コンテンツ
先行公開・先行予約権
限定グッズ割引
ポイント:定期的なコンテンツ提供が必要。
高価格ティア(2,000円〜)向け
特別感のある特典
名前を呼んでもらえる
個別メッセージ返信
少人数限定イベント参加
記念日お祝い
グッズプレゼント
コラボ・企画参加権
ポイント:「1対1」の関係性を演出。人数制限推奨。
リファラル × ティア設計の組み合わせ
ファン紹介プログラムとティア設計を連携させると、相乗効果が生まれます。
設計例1:紹介でティアアップグレード
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1人紹介 → 次月ライト特典を無料で体験
3人紹介 → スタンダードに1ヶ月無料アップグレード
10人紹介 → VIP永久昇格
```
設計例2:ティア別の紹介報酬
ティアによって紹介報酬を変えることも効果的です。ライトは紹介1人につき100円分ポイント、スタンダードは紹介1人につき300円分ポイント、VIPは紹介1人につき500円に加えて紹介者もVIP特典が得られます。
効果:上位ティアほど紹介インセンティブが高くなります。熱心なファンほど紹介活動を行うようになります。
ティア設計のよくある失敗と対策
失敗1:ティアが多すぎる
問題:選択肢が多すぎてファンが迷う。運用も複雑に。
対策:最初は3ティアで開始。需要に応じて追加。
失敗2:ティア間の価値差が不明確
問題:「なぜ上位を選ぶべきか」が分からない。
対策:各ティアの目玉特典を1つ明確に。
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良い例:
ライト:バッジ
スタンダード:限定配信(これが目玉)
VIP:名前呼び(これが目玉)
悪い例:
ライト:バッジ、チャット
スタンダード:バッジ、チャット、たまに限定投稿
VIP:バッジ、チャット、限定投稿、たまに名前呼び
```
失敗3:上位ティアの運用負荷が高すぎる
問題:個別対応が増えすぎて疲弊。
対策:上位ティアには人数上限を設ける。
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例:VIP(5,000円):先着20名限定
→ 希少性が生まれ、ファンの満足度も向上
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失敗4:価格設定が安すぎる
問題:ファン数は増えるが収益が伸びない。
対策:LTV(生涯価値)ベースで考える。
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1人のファンが12ヶ月継続した場合:
300円 × 12 = 3,600円
1,000円 × 12 = 12,000円
価値に見合った価格設定を恐れない
```
YouTubeメンバーシップのティア設計Tips
YouTubeメンバーシップでは最大6段階のティアを設定できます。
おすすめ設定
各レベルの価格と設定のコツを紹介します。レベル1(90円)は応援の意思表示でバッジのみでOKです。レベル2(290円)は基本プランとして限定投稿アクセスを提供します。レベル3(490円)はメインプランとして限定配信アクセスを追加します。レベル4(990円)はコアファン向けとして全アーカイブを開放します。レベル5(2,990円)は名前呼び等の個別対応を含みます。レベル6は未使用として、必要になってから設定しましょう。
YouTubeメンバーシップの注意点
Googleが30%の手数料を取る
ファンとの直接コミュニケーションが制限される
紹介プログラムの組み込みが難しい
高度なティア設計には、FanLoop等の外部ツールとの併用を検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 最初は何ティアで始めるべき?
A. 3ティアがおすすめです。
「松竹梅の法則」で真ん中が選ばれやすく、運用も複雑になりすぎません。需要に応じて後から追加できます。
Q. ティアの価格差はどのくらいが適切?
A. 2〜3倍の価格差が目安です。
例:ライト500円、スタンダード1,000円、VIP3,000円。価格差が小さすぎると上位を選ぶ理由がなく、大きすぎると敷居が高くなります。
Q. 特典を追加しすぎて疲弊しています。どうすれば?
A. 上位ティアに人数制限を設けましょう。
「VIPは先着20名限定」とすることで、希少性が生まれファンの満足度も上がり、運用負荷も軽減できます。
Q. 途中でティアを追加・変更しても大丈夫?
A. はい、大丈夫です。
既存メンバーには事前告知をしましょう。価格を上げる場合は、既存メンバーは据え置きにするのがベターです。
まとめ
メンバーシップティアは階層別の料金・特典設計
3ティアの「松竹梅」設計が最も効果的
ファン心理(極端の回避性)を理解して価格設定
リファラルとの連携で紹介インセンティブを強化
運用負荷を考慮して上位ティアは人数制限を検討
関連用語
スーパーファンとは
両面インセンティブとは
紹介報酬とは
リファラルプログラムとは