両面インセンティブとは、紹介した人・紹介された人の両方に報酬を渡す仕組みのことです。
英語では「Two-sided Incentive」と呼ばれます。「Give $10, Get $10(あげて10ドル、もらって10ドル)」というキャッチフレーズで知られる報酬設計です。
例えば、以下のような形式がこれにあたります。
「あなたが友達を紹介すると、あなたに500円、友達にも500円プレゼント」
「紹介コードを使って登録すると、紹介者・新規登録者の両方に1ヶ月無料」
Uber、Dropbox、PayPalなど世界的企業がこの仕組みで急成長を遂げました。現在では、クリエイターのファン獲得にも活用されています。
片面インセンティブとの違い
紹介プログラムには「片面」と「両面」の2種類があります。
片面インセンティブ
紹介者だけに報酬を提供する仕組みです。
例:「友達を紹介すると、あなたに1,000円」
メリット:設計がシンプル
デメリット:紹介者が「自分だけ得している」と感じ、紹介をためらう
両面インセンティブ
紹介者と被紹介者の両方に報酬を提供する仕組みです。
例:「友達を紹介すると、あなたに500円、友達にも500円」
メリット:紹介の心理的ハードルが下がる
デメリット:報酬コストが2倍になる
結論:紹介数を最大化したいなら、両面インセンティブが有効です。
なぜ両面インセンティブは効果が高いのか?
両面インセンティブが高い効果を発揮する理由は3つあります。
理由1:紹介の「罪悪感」がなくなる
片面インセンティブでは、紹介者は「自分だけ得をするために友達を利用している」と感じることがあります。
両面インセンティブなら「友達にもメリットがあるから紹介している」と正当化できます。これにより、紹介のハードルが大きく下がります。
理由2:被紹介者の登録率が上がる
被紹介者にも報酬があると「お得な情報をもらった」と感じます。単なる勧誘ではなく、価値のあるシェアとして受け取れるのです。
理由3:口コミが自然に広がる
紹介者・被紹介者の両方が得をする仕組みは、SNSでシェアされやすい特徴があります。「みんなで得しよう」という文脈で拡散されるためです。
両面インセンティブの成功事例
Dropbox:15ヶ月で400%成長
Dropboxは両面インセンティブの代表的な成功事例です。
紹介者:500MB〜1GBの追加容量
被紹介者:500MBの追加容量
この紹介プログラムにより、Dropboxは15ヶ月で100万ユーザーから400万ユーザーへと成長しました。金銭コストをほぼゼロに抑えながら、ユーザーが本当に欲しいもの(ストレージ)を報酬にした点が秀逸です。
Uber:世界展開の原動力
Uberの紹介プログラムも両面インセンティブです。
紹介者:次回乗車が最大2,000円OFF
被紹介者:初回乗車が最大2,000円OFF
報酬が「サービス利用」に直結している点がポイントです。現金ではなく乗車クレジットにすることで、継続利用を促進しています。
PayPal:現金報酬で1億ユーザー獲得
PayPalは初期に大胆な両面インセンティブを実施しました。
紹介者:10ドルの現金報酬
被紹介者:10ドルの現金報酬
コストは膨大でしたが、急速にユーザーベースを拡大。最終的にeBayに15億ドルで買収されました。
日本の事例:メルカリ・みんなの銀行
日本でも両面インセンティブは広く採用されています。メルカリは紹介者・被紹介者ともに500ポイント、みんなの銀行は紹介者・被紹介者ともに1,000円、PayPayは紹介者・被紹介者ともに500円相当を報酬として提供しています。
両面インセンティブの4つの報酬パターン
パターン1:金銭報酬型
現金・ポイントを報酬にするパターンです。
例:「紹介で500円、登録で500円」
メリット:誰にとっても価値が明確
デメリット:報酬目当ての質の低いユーザーを引き寄せるリスク
向いているサービス:EC、金融、高単価サブスク
パターン2:サービス報酬型
サービスの利用権を報酬にするパターンです。
例:「紹介で1ヶ月無料、登録で初月無料」
メリット:原価がほぼゼロ
デメリット:サービスに興味がない人には訴求しにくい
向いているサービス:SaaS、サブスク、オンラインサービス
パターン3:特典報酬型
金銭では買えない特別な報酬を提供するパターンです。
例:「紹介で限定スタンプ、登録でウェルカムギフト」
メリット:ファンにとって高い価値を持つ
デメリット:ファン以外には価値が伝わりにくい
向いているサービス:ファンクラブ、コミュニティ、ゲーム
パターン4:段階報酬型
紹介人数に応じて報酬がアップするパターンです。
例:「5人紹介で1万円、10人紹介で3万円」
メリット:多く紹介する人のモチベーション維持
デメリット:不正の誘因になりやすい
向いているサービス:アンバサダープログラム
クリエイターの両面インセンティブ活用法
YouTuber・VTuberのメンバーシップ紹介
YouTubeメンバーシップやFANBOXで両面インセンティブを設計できます。
設計例:
紹介者(既存メンバー):限定スタンプ1セット追加
被紹介者(新規メンバー):初月の限定コンテンツ全解放
ポイントは「お金」ではなく「体験」を報酬にすることです。ファンにとって、限定コンテンツは金銭以上の価値があります。
配信者のサブスク紹介
TwitchやYouTubeの配信者向けの設計例です。
設計例:
紹介者:次回配信での名前読み上げ
被紹介者:初回限定のウェルカムバッジ
「コミュニティへの所属感」が最大の報酬になります。
オンラインサロンの会員紹介
オンラインサロンやDiscordコミュニティ向けの設計例です。
設計例:
紹介者:1ヶ月分の会費キャッシュバック
被紹介者:初月50%OFF+限定コンテンツ
両面インセンティブの設計ポイント
ポイント1:報酬バランスを決める
一般的な報酬バランスは3パターンあります。対等型は50:50の配分で、最も一般的で公平感があります。紹介者重視型は70:30の配分で、積極的な紹介を促したい場合に向いています。被紹介者重視型は30:70の配分で、新規獲得を最優先したい場合に向いています。
迷ったら「対等型(50:50)」から始めましょう。
ポイント2:報酬のタイミングを決める
報酬を付与するタイミングは2パターンあります。
即時報酬
紹介成立時点で報酬付与
メリット:ユーザー満足度が高い
デメリット:不正利用のリスク
条件達成後報酬
被紹介者が条件(30日継続など)を達成後に報酬付与
メリット:不正防止に効果的
デメリット:紹介者のモチベーション低下
ポイント3:不正防止策を講じる
両面インセンティブは不正利用されやすいため、対策が必須です。
同一IPアドレスからの紹介を制限
同一デバイスからの紹介を制限
報酬付与に最低利用条件を設定
紹介上限の設定(例:月間10人まで)
両面インセンティブのデメリットと注意点
デメリット1:コストが2倍になる
紹介者・被紹介者の両方に報酬を出すため、1件あたりのコストは片面の2倍になります。
対策: サービス報酬型(無料期間、容量追加など)を採用し、原価を抑える
デメリット2:不正利用のリスク
自作自演や架空アカウントによる不正紹介のリスクがあります。
対策: 条件達成後の報酬付与、紹介上限の設定
デメリット3:報酬目当てユーザーの流入
報酬だけが目的の質の低いユーザーが増える可能性があります。
対策: 金銭報酬よりサービス報酬・特典報酬を採用
よくある質問(FAQ)
Q. 両面インセンティブの報酬額の相場は?
業界・サービスによって異なりますが、目安は以下の通りです。EC・通販では紹介者報酬が500〜1,000円、被紹介者報酬が500〜1,000円OFFです。サブスクでは紹介者報酬が1ヶ月無料、被紹介者報酬が初月無料または半額です。金融では紹介者・被紹介者報酬ともに1,000〜5,000円です。コミュニティでは紹介者報酬が会費1ヶ月分、被紹介者報酬が初月割引です。
Q. 片面と両面、どちらを選ぶべき?
紹介数を最大化したいなら「両面」、コストを抑えたいなら「片面」が基本です。
ただし、長期的には両面インセンティブの方がROIが高いケースが多いです。被紹介者にも報酬があることで登録率が上がり、結果的にCACが下がるためです。
Q. 両面インセンティブはどんなサービスに向いている?
以下のサービスに特に向いています。
サブスクリプションサービス
SaaS
ファンクラブ・コミュニティ
オンラインサロン
EC・通販
まとめ
両面インセンティブとは、紹介者・被紹介者の両方に報酬を提供する仕組みです。
3つのポイント:
心理的ハードルを下げる:「友達にもメリットがある」から紹介しやすい
報酬設計が重要:金銭より「体験」を重視する
不正防止を忘れない:条件達成後の報酬付与が有効
Uber、Dropbox、PayPalなど世界的企業も採用した実績のある手法です。クリエイターのファン獲得にも非常に有効です。
FanLoopを使えば、両面インセンティブの設計・運用・効果測定をすべて自動化できます。
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