> Customer-Led Growthとは、既存顧客が新規顧客を連れてくる成長戦略です。
日本語では「カスタマーレッドグロース」「顧客主導の成長」と呼ばれます。
広告で新規獲得するのではなく、満足した顧客の口コミ・紹介で自然に顧客が増える状態を目指します。
クリエイターにとっては「ファンがファンを呼ぶ」成長モデルです。
注意:「CLG」には3つの意味がある
日本語で「CLG」を検索すると、3つの異なる概念がヒットします。1つ目はCustomer-Led Growthで顧客主導の成長を意味します(本記事)。2つ目はCommunity-Led Growthでコミュニティ主導の成長を意味します。3つ目はContent-Led Growthでコンテンツ主導の成長を意味します。
本記事ではCustomer-Led Growth(顧客主導の成長) を解説します。
PLG、SLG、CLGの違い
ビジネスの成長戦略には主に3つのアプローチがあります。SLG(Sales-Led Growth)は営業チームが成長の原動力で、SalesforceやOracleが代表例です。PLG(Product-Led Growth)は製品体験が成長の原動力で、Slack、Notion、Zoomが代表例です。CLG(Customer-Led Growth)は既存顧客が成長の原動力で、FigmaやCanvaが代表例です。
それぞれの特徴
SLG(営業主導)
営業担当が顧客を獲得
BtoB、高単価商品向け
人件費がかかる
PLG(製品主導)
製品を使えば価値が分かる
無料トライアル → 有料転換
SaaS企業に多い
CLG(顧客主導)
満足した顧客が新しい顧客を連れてくる
口コミ・紹介が中心
コミュニティが重要
クリエイターにとっての意味
クリエイターでの例を見てみましょう。SLGは事務所・マネージャーが案件を獲得するモデルです。PLGはコンテンツを見れば魅力が伝わるモデルです。CLGはファンがファンを連れてくるモデルです。
クリエイターにとって最も重要なのはCLGです。ファンの「推し」活動こそが最強の成長エンジンだからです。
クリエイター向け:Fan-Led Growth(FLG)という考え方
CLGをクリエイター向けに再定義すると、「Fan-Led Growth(FLG)=ファン主導の成長」 という概念になります。
Fan-Led Growthの定義
> Fan-Led Growth(FLG)とは、熱狂的なファンが新しいファンを連れてくることでクリエイターが成長する戦略です。
FLGの3つの柱
1. ファンの成功体験を作る
ファンが「推してよかった」と思える体験
コンテンツ、コミュニティ、直接交流
2. 紹介の仕組みを整える
紹介リンクの発行
紹介者・被紹介者への報酬
紹介しやすい環境づくり
3. ファンコミュニティを活性化
ファン同士のつながり
「布教」が自然に起きる環境
熱狂が伝播する場所
CLG/FLGが重要な5つの理由
理由1:顧客獲得コスト(CAC)の削減
```
広告経由のCAC:2,000〜5,000円
紹介経由のCAC:500〜1,000円
→ 紹介で獲得すると60〜80%コスト削減
```
理由2:紹介経由の顧客はLTVが高い
紹介されて来た顧客は、最初から信頼関係があります。
継続率が25〜40%高い
購入単価が20〜30%高い
理由3:広告依存からの脱却
プラットフォームのアルゴリズム変更や広告費高騰のリスクを軽減できます。
理由4:ブランドの信頼性向上
「友人からの紹介」は最も信頼される情報源です。
理由5:持続可能な成長
一度仕組みができれば、複利的に成長していきます。
CLG/FLGを実践する5つのステップ
ステップ1:熱狂的ファンを特定する
熱狂的ファン(True Fans)の特徴
毎回コンテンツを見ている
コメント・リアクションが多い
SNSでシェアしてくれている
上位ティアのメンバーシップに入っている
見つけ方
YouTubeアナリティクスのリピーター
Discordのアクティブメンバー
メンバーシップの長期継続者
ステップ2:ファンの「成功」を定義する
ファンにとっての「成功」とは何でしょうか?ジャンル別に見てみましょう。ゲーム実況では推しの配信で楽しい時間を過ごせたこと、教育系ではスキルが身についたり資格に受かったりすること、エンタメ系では元気が出たり笑えたりすること、VTuberでは推し活を通じて仲間ができたことが成功例です。
この「成功体験」を最大化することがCLGの第一歩です。
ステップ3:紹介プログラムを設計する
両面インセンティブの設計
紹介者への報酬例としては、限定特典、ポイント、メンバーシップ延長などがあります。被紹介者への報酬例としては、初月割引やウェルカム特典などがあります。
紹介しやすい環境
ワンクリックで紹介リンク発行
SNSシェアボタン
紹介文のテンプレート提供
ステップ4:コミュニティを活性化する
コミュニティでの「布教」を促進
Discord/ファンクラブ内で紹介を称える
紹介者ランキングの公開
紹介成功者への特別感謝
ステップ5:効果測定と改善
追跡すべきKPI
重要なKPIを紹介します。紹介率は紹介活動をするファンの割合で、目標は10%以上です。バイラル係数は1人が連れてくる新規数で、目標は0.3以上です。紹介経由CVRは紹介リンク経由の登録率で、目標は20%以上です。紹介経由LTVは紹介経由ファンの生涯価値で、目標は通常の120%以上です。
CLG/FLG成功事例
事例1:Figma(デザインツール)
CLGの実践内容
ユーザーコミュニティを重視
テンプレート共有で「使いたい」を生む
ユーザーがユーザーを教える文化
結果
急速なユーザー拡大
Adobeに約200億ドルで買収提案
事例2:VTuberの場合(想定例)
FLGの実践内容
ファン紹介で次月メンバーシップ無料
紹介10人達成で「名誉ファン」称号
Discord内で紹介者を毎週発表
結果
6ヶ月でメンバー数2倍
紹介経由が新規の40%
広告費ゼロで成長
事例3:オンライン講師の場合(想定例)
FLGの実践内容
受講生紹介で次回講座20%OFF
紹介された受講生にもウェルカム特典
受講生コミュニティでの成功事例共有
結果
口コミだけで月50名の新規受講
CAC70%削減
CLG/FLGを阻害する要因と対策
阻害要因1:ファンが紹介の仕組みを知らない
対策
定期的に紹介プログラムを告知
メンバーシップ登録完了画面で案内
メールやDiscordでリマインド
阻害要因2:紹介のハードルが高い
対策
ワンクリックで紹介リンク発行
シェア用テキストのテンプレート
QRコード提供(オフラインイベント用)
阻害要因3:報酬が魅力的でない
対策
金銭以外の報酬(限定体験、称号)
段階的な報酬(5人紹介で特別特典)
紹介者ランキングと表彰
阻害要因4:紹介されたファンが定着しない
対策
ウェルカム体験の強化
被紹介者向けオンボーディング
紹介者と被紹介者のつながりを作る
よくある質問(FAQ)
Q. CLGとPLGの違いは?
A. 成長の原動力が異なります。
PLGは「製品体験」が原動力(使えば価値が分かる)。CLGは「既存顧客」が原動力(満足した顧客が紹介)。多くの企業は両方を組み合わせています。
Q. クリエイターにCLGは関係ある?
A. 大いに関係あります。
ファンが「この人いいよ」と友人に勧める構造はまさにCLG。本記事ではこれを「Fan-Led Growth(FLG)」と呼んでいます。
Q. CLGを始めるのに必要なことは?
A. まず既存ファンの満足度を上げることです。
紹介プログラムを作っても、満足していないファンは紹介しません。コンテンツの質、コミュニティ体験を磨くことが先決です。
Q. CLGとCommunity-Led Growthの違いは?
A. 微妙に異なる概念です。
CLG(Customer-Led)は「顧客」が原動力。Community-Led Growthは「コミュニティ」が原動力。実際には重なる部分が多いです。
まとめ
Customer-Led Growth(CLG) は既存顧客が成長を牽引する戦略
クリエイター向けには Fan-Led Growth(FLG) として再定義
ファンが新しいファンを連れてくる仕組みが最強の成長エンジン
紹介プログラムでFLGを仕組み化できる
PLG→CLG/FLGへのシフトが持続可能な成長のカギ
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